> 脊髄空洞症 (syringomyelia)

 脊髄実質内に種々の原因(キアリ奇形、外傷、炎症、腫瘍等)により脊髄に空洞を形成する慢性進行性疾患で、外来患者の0.3〜0.4%を占めるといわれており、近年MRIの普及により増加傾向にあります。Chiari奇形に伴うものが約半数を占め、上下肢のしびれ、疼痛、感覚障害、脱力、筋萎縮などを生じ、進行するものが60-70%といわれています。耐え難いしびれ・疼痛、明らかな症状の進行、日常生活への支障が大きい場合手術を行います。

脊髄空洞症は国が難病医療費等助成対象疾病に認定しており、治療費の補助が受けられます。
詳細はこちら→「厚生労働省 平成27年1月1日施行の指定難病 (新規):通し番号 101, 告示番号 117 脊髄空洞症」

<症例1>
 70代男性。数年前より両上下肢のしびれ生じていたが、糖尿病の合併症があるためといわれていた。自転車走行中転倒し大腿骨頸部骨折で当院入院、手術を行ったが、歩行訓練が進まず、下肢の痙性麻痺・腱反射亢進に気付き精査を行ったところ、キアリ奇形による脊髄空洞症と判明した。
 手術は後頭下減圧術、及び空洞-くも膜下腔シャント術 (S-S shunt)を施行した。術直後より上下肢のしびれが軽快し、下肢筋力も回復傾向で経過良好である。

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術前MRI

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術中所見

<症例2>
 60代女性。1年前より両上下肢のしびれ・違和感を感じていた。半年前より頭痛、眩暈、両上肢の耐えがたい疼痛・不快感・握力の低下を自覚するようになり当院受診、精査の結果、キアリ奇形による脊髄空洞症に頸椎症が合併し発症したものと診断した。
 手術は大後頭孔拡大術、C1後弓切除術、硬膜外層切除術、椎弓形成術を施行した。
 術後、上肢の著明な疼痛・しびれは消失し経過良好であるが、下肢に軽度の違和感が残存しており長期に経過観察を行う予定である。

術前頚椎MRI

術前頚椎MRI

術前胸椎MRI

術前胸椎MRI

術後頚椎MRI

術後頚椎MRI

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