> 椎間板炎・椎体炎

 椎間板炎・椎体炎は、黄色ブドウ球菌などの細菌や真菌が脊椎に感染することで生じます。
激しい痛みや高熱を生じるのが特徴ですが、起炎菌が弱毒性の場合は、微熱程度で腰痛・炎症所見も比較的軽度の場合があります。
 健康な人に生じるのは稀で、多くは糖尿病や肝臓病などの基礎疾患を持っている、或いはステロイド剤・免疫抑制剤・抗癌剤を使用している等免疫力の低下している人に生じます。
 治療は安静、コルセットの装着、抗生剤の投与を行いますが、膿瘍の形成・麻痺などを生じた場合には手術(排膿・病巣掻爬・洗浄etc.)を行います。

<症例1:保存療法>
 70代男性。S状結腸癌の手術の既往があり、抗癌剤を投与されていた。腰痛、右大腿部痛出現し歩行困難となったため当院に入院した。発熱はなく、採血検査は白血球 6920 (正常), CRP 6.21 (軽度上昇) であった。MRI等精査した結果、上記診断、採血にてβ−Dグルカン 23.8と上昇していたため真菌によるものと判断し、抗真菌剤、硬性コルセットを長期に使用した。
 最終観察時、椎体は圧壊したものの骨癒合を得ており、腰痛も消失した。

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初診時X線

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初診時MRI

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最終観察時X線

<症例2:手術(変形矯正)を要した症例>
 70代男性。元々、糖尿病 (DM) の既往がある。
 10日前より腰痛、熱発生じるようになり当院受診、精査の結果、L2/3椎間板炎・椎体炎の診断で入院した。起炎菌は、Streptococcus intermediusで抗生剤による保存的治療を6週間行い、感染徴候は消失し退院した。
 その後外来通院加療を行っていたが、椎体圧壊・癒合による後弯変形が残存し、腰痛・歩行障害が強いため、発症から1年6ヶ月後に矯正固定術を行った。
 これにより、症状は改善し、仰向けで寝られるようになり、感染徴候の再燃も認めず経過良好である。

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発症時X線

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発症時MRI

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術前X線

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術前MRI

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術後X線

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術後MRI

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