> 帯状疱疹による麻痺(Segmental Zoster Paresis)

 帯状疱疹は比較的ありふれた疾患であるが、顔面神経麻痺(Ramsay-Hunt症候群)以外の運動神経麻痺を生じることはあまり知られていない。帯状疱疹患者の約5%に発生し、そのうち20%が遺残するとの報告もあり注意が必要である。発生機序は、脊髄後根神経節の病変が求心性に脊髄側角、さらに前角に及び腹部であれば麻痺性イレウスや腹筋麻痺を生じるものと考えられている。治療はステロイドと抗ウイルス剤との併用療法が一般的で、後遺症を残さないためにも早期治療が重要である。
 

<症例>
 70代男性。1ヶ月前より右腹部に帯状疱疹を生じていたが放置していた。皮疹は徐々に増悪し、トイレに行こうとした際、立てなくなり救急車で当院受診した。MRIでは明かな神経の圧迫病変は認めず、重度の帯状疱疹と血液・髄液からのウイルス抗体の検出、腹筋麻痺の存在から上記診断した。直ちに入院し抗ウイルス剤の点滴、ステロイド投与を開始した。約2週間の加療にて皮疹消退し、それととともに下肢筋力が回復し歩行も安定するようになり経過良好にて退院した。

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MRI T1 矢状断像

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MRI T2 矢状断像

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体幹正面

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体幹側面

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体幹後面

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腹筋麻痺

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