> 歯突起後方偽腫瘍

 病態は未だ不明な点が多いですが、種々の加齢性変化や環軸関節の不安定性・動的因子などの機械的ストレスにより歯突起後方に腫瘤を形成し、あたかも腫瘍のように増大することで上位頚髄を圧迫し脊髄障害を引き起こすと考えられています。
 そのため、神経の除圧だけでなく固定術を行うのが一般的で、固定を行うと多くの症例で腫瘤の自然消退を認めますが、固定を行わない場合は、腫瘤の消退を認める場合も、また逆に不変・増大する場合もあり一定しておりません。
 そこで当院では以下の治療方針で手術法を決めております。
・明かな不安定性のある症例
  除圧術+後頭骨頚椎後方固定術 (または頚椎後方固定術)
・明かな不安定性のない症例や高齢者・合併症を有する症例
  除圧術のみ

> 実際の治療 (不安定性あり)

<症例>
 70代男性。3ヶ月前より左上肢にしびれが常時生じるようになり当院初診、明かな脊髄症の所見を有し精査の結果、上記診断した。明かな不安定性を有していたため、後頭骨頚椎後方固定術(ナビゲーション支援下)を施行した。術後3ヶ月で上肢のしびれは消失し画像上も腫瘤の縮小、脊髄の除圧が得られており経過良好である。

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術前X線

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術前3DCT

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術前MRI

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術後X線

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術後3DCT

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術後MRI

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術後3ヶ月MRI

> 実際の治療 (不安定性なし)

<症例>
 70代男性。13年前に頚髄損傷による右上肢不全麻痺を生じ前方固定術を受けた。症状は改善し経過良好であったが2年前より両手のしびれが生じ、徐々に筋力低下も自覚するようになり当院受診、精査の結果上記診断した。明かな不安定性は認めなかったため、固定術は行わず除圧術のみを行った。術後3ヶ月で上肢のしびれは軽度残存するものの上肢の使い勝手は向上し、画像上も緩徐であるが腫瘤の縮小と脊髄の除圧が得られており経過良好である。

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術前MRI

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術後X線

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術後MRI

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