> 硬膜内髄外腫瘍

<症例1:髄膜腫>
 60代女性。数年前より両下肢のしびれ・疼痛生じ、他院にて腰部脊柱管狭窄症の診断で加療するも軽快せず、徐々に歩行が困難になり当院受診した。精査の結果、第5胸椎レベルの硬膜内髄外腫瘍と診断、手術を行った。手術は、術前検査より髄膜腫が強く疑われたため、椎弓切除にて行った。摘出した腫瘤の病理所見も髄膜腫であった。軽度のしびれが残存するものの、支持なし歩行で経過良好である。
 

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術前MRI

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術前造影MRI

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術中所見

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術後MRI

<症例2:多発性髄膜腫>
 70代女性。2ヶ月前より右下肢痛、歩行障害出現し徐々に悪化、1ヶ月前より歩行不能となり他院受診、脊髄腫瘍を指摘され当院受診した。初診時、臥位で膝立ても不能な状態であり(改良Frankel C1)、膀直障害を認め、精査の結果、第7, 8胸椎レベルの硬膜内髄外腫瘍と診断、手術を行った。手術は、侵襲を小さくするため片側椎弓切除にて行った。摘出した腫瘤の病理所見も髄膜腫であった。術後、膝立ては可能となり両下肢のしびれ・重だるさが軽減した。術後3ヶ月でピックアップウォーカーでの自立歩行が可能となり、術後6ヶ月でT字杖での自立歩行が可能なレベル(改良Frankel D2)まで回復し、現在のところ再発も認めず経過良好である。
 

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術前MRI

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術前造影MRI

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術前ミエロCT

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術中所見

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術後MRI & CT

<症例3:腰椎神経鞘腫>
 50代女性、数ヶ月前より腰痛、両下肢痛・しびれ生じるようになり当院受診、MRI等精査したところL2レベルに硬膜内髄外腫瘍を認め、神経鞘腫を疑い手術を行った。
 腫瘤は正中に存在したが、L2片側還納式椎弓形成術により特に支障なく摘出でき、病理組織検査により神経鞘腫と確定診断した。
 術直後より下肢痛・しびれは消失し、術後2週で退院、術後3年現在、特に再発は認めず経過良好である。

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術前MRI

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術中所見1

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術中所見2

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術後MRI

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術後X線

<症例4:急性四肢麻痺で発症した頚椎神経鞘腫(腫瘍内出血)>
 50代女性、半年前より右手のしびれ・疼痛を自覚するようになり、近医の整形外科やカイロプラクティックに通っていた。突然起床時より右上肢の疼痛増強、両下肢のしびれ・麻痺が出現し救急車で搬送、搬送中に左上肢にも疼痛・麻痺を生じるようになり当院受診時には両手指・下肢は全く動かすことができず、cervical line以下の知覚も完全に脱失していた。MRIでは、C7レベルに硬膜内髄外腫瘍を認め脊髄は右側より高度に圧排されていた。神経鞘腫を疑い、緊急手術を行ったところ右C8頚神経後根発生の神経鞘腫と判断しこれを全摘出した。病理組織所見では、Antoni type Aとtype Bが混在し、鬱血・出血を伴った神経鞘腫の所見であった。S-100蛋白陽性、弾性繊維を染色するEMG染色では破綻血管を認めず、出血の原因は漏出性出血によるものと考えられた。また、ヘモジデリンを染色するベルリンブルー鉄染色は陰性であったことから、ごく最近に生じた出血であり、急性増悪した原因と考えられた。
 術直後より麻痺の改善傾向を認め、術後1ヶ月でリハビリテーション病院へ転院、術後2年経過した現在、右手に軽度のしびれ感が残存するものの日常生活上特に支障ないレベルに回復している。
 

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術前MRI

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術後MRI

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術中所見1

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術中所見2

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病理所見1

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病理所見2

<症例5:多発性神経鞘腫, NF-II>
 50代男性。2ヶ月前より左肩甲背部痛、左手しびれ、歩行障害が出現し徐々に悪化したため当院受診した。精査の結果、頚胸椎多発性神経鞘腫(Neurofibromatosis Type II)と診断し手術を行った。
 手術は、2回に分けて行い、頚椎部は片側椎弓切除にて摘出、胸椎部は片側還納式椎弓形成術にて摘出した。
 手術により、激痛は消失、歩行障害も改善し日常生活上特に支障ない。

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術前MRI

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術後MRI

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還納式片側椎弓形成術1

T-sawにて椎弓を摘出

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還納式片側椎弓形成術2

顕微鏡下に腫瘍摘出

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還納式片側椎弓形成術3

摘出した椎弓を還納

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術中所見1


硬膜管腹側の腫瘤を確認

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術中所見2


腫瘍摘出後

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術中所見3


摘出した椎弓を還納

<症例6:神経鞘腫 (砂時計腫)>
 30代男性。既往に神経線維腫症Ⅰ型があり、1ヶ月前より左下肢の脱力、歩行が不安定となり当院受診した。頭部・全脊椎の精査を行い、C6/7 左側の神経鞘腫(砂時計腫 Type Ⅲ-b)による障害と判断し手術を行った。
 手術は、後方片側進入にて左C6/7椎間関節及び細小化したC7椎弓根を切除し展開、硬膜とC7神経根基部をT字切開し腫瘍を露出し、C7神経根と腫瘍との癒着を剥離し後糸を数本切離・焼灼した。一部硬膜を切除し腫瘍を側方から前方へ剥離操作を進めて全摘出した。硬膜縫合後はMAG変法によるパッチ処理と遊離脂肪移植を行った。片側椎間関節切除であるが、今後右側の手術を行う可能性もありC6-T1間に椎弓根スクリュー固定と骨移植を追加した。
 術後、左下肢の筋力・歩行障害は著明に改善し上肢の障害も認めず経過良好である。

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術前MRI矢状断

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術前MRI水平断

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術前MRI水平断

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術後Xp

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術後MRI

手術ビデオ

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