> ガングリオン

ガングリオンは、関節包の一部が袋状に膨らみ、なかに関節液の濃縮したゼリー状の液体が貯まる腫瘤です。
良性の腫瘤で、身体中の関節の至る所に生じますが、時に脊椎に生じて神経を圧排することがあります。


<症例>
 70代女性。3年前より腰痛・間欠性跛行生じるようになり他院で保存的に加療していた。1ヶ月前より左下肢痛、足関節背屈困難、歩行障害生じるようになり、当院受診、腰部脊柱管狭窄症・ガングリオンの診断で入院・手術を行った。
 術後、左下肢痛は消失、足関節の背屈も良好となり退院した。


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術前MRI

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術中所見

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術後MRI

> 多発性骨髄腫

 多発性骨髄腫は、血液細胞の1つである「形質細胞」のがんです。形質細胞は、免疫グロブリン(抗体)という、病原菌から体を守る働きをするタンパク質をつくっています。がん化して骨髄の至る所で増殖(多発性)することにより免疫力の低下、骨髄での造血抑制による倦怠感、息切れ、出血傾向等の症状が現れます。また、骨も弱くなるため痛みや骨折なども生じてきます。症状が多彩なため、早期診断が困難で偶然健康診断等にて発見されることもあります。
 背中や腰の痛みを訴えることが多いため、はじめに整形外科を受診されることがありますが、診断と治療はおもに血液疾患専門内科医が行います。


<症例>
 80代男性。腰痛を主訴に当院受診、X線・MRI等精査を行った。MRIにて脊椎に多発性の腫瘍性病変が推定され、T2で石灰化を伴う低信号化がないことから前立腺癌等の転移は否定的で、DWIBS(MRIでPETのような画像が得られる方法)では肋骨・骨盤等広範囲に病変を認めた。明らかに骨外増大する病変を認めないことから、骨親和性の高い腫瘍性病変、特に多発性骨髄腫の可能性が高いと判断し近くの血液内科に紹介した。
 その結果、多発性骨髄腫(IgA型進行期)と確定診断され専門的治療が行われている。


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初診時X線 (正・側)

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初診時X線(斜位)

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初診時MRI (T1)

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初診時MRI (T2, STIR)

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初診時MRI(DWIBS)

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